器楽合奏というと、元の曲があって、それをいろいろな楽器で演奏できるように編曲した楽譜に従って、個々に練習してパートをこなせるようになってからみんなで合わせる、というような手順を考えるかも知れません。ここでは、様々なデイサービスの音楽活動で、個別の楽器の練習はしないで、合奏する方法を考えてみます。また、グループのメンバーの人数によって、配慮しなければならないことが違ってきますが、仮に10人から20人くらいのグループを想定して説明します。
合奏、器楽アンサンブルも普段の楽器遊びの延長です。一人一人が思い思いに楽器をかき鳴らし、その重なりを楽しむ、ということが大前提で、そういう経験が曲を決めて合奏する下地になります。その場合、メンバーがそれぞれ違った楽器を手にするということが大事になります。もちろん、例えばトーンチャイムに慣れるために全員がトーンチャイムを持って楽器遊びをするシーンがあっても、それは当然です。ですが、トーンチャイムの良さ、あるいはタンブリンの良さ、ギターの良さ、つまり一つ一つの楽器の良さはほかの楽器を合わさって一層強く実感できるものです。極端な話ですが、もし全員がシンバルを持ってしまったらそこから音楽が生まれるのは容易ではありません。
グループ全体の音、サウンドのバランスを考えながら楽器遊びを重ねていれば、合奏に自然に結びつきます。
どの楽器がどんな役割をするかは、使い方次第ですが、少なくとも楽器の役割を意識しておくのは重要です。
まず、メロディ。メンバー全員がメロディを歌いながら(声に出さなくてもよい)、自分の楽器を奏でれば、素晴らしいアンサンブルになることは請け合いです。鍵盤ハーモニカ、キーボード、カズー、声(ボーカル)、簡単な曲ならキーボードでメロディを弾くメンバーがいるグループもあるでしょう。もしいなければ、サポートのスタッフや指導者がしっかりとメロディを浮かべてください。
次に基本のビート。手拍子、タンブリンが使えますが、ここでコンガ、ジャンベ、カホンが出てくると、アンサンブルの質が1ランクも2ランクも上がった感じがします。このビートですが、最初からテンポを決めてしまうより成り行きに任せるのがいいと思います。またグループ全体としてのばらつきがあっても、だんだんと落ち着くところへ落ち着いていきますので、このプロセスをメンバーが体感していくことを大切にしましょう。つまり、お互いに耳を傾けていく。
そして、ハーモニー、和音です。これは、従来のドミソやファラドなど決まった和音にこだわらず、例え音の構成としては不協和音になったりしても、さほど不自然ではなく、むしろそれがグループの味になっていく場合があります。楽器は、ギター、トーンチャイム、ハーモニカなどを使うと、サウンドの厚みが出て、文字通り、アンサンブルって感じです。
そして、オカズの音。時々鳴って、おやっと注目を浴びたり、胸がキュンとしたりします。ツリーチャイム、オーシャンドラム、など。シンバル・カバサ・ウッドブロック・鈴・トライアングルなどはビートを打つなど基本リズムの役割もありますが、オカズに使うと効果的です。
そしてこれらのバランスですが、仮に12人のグループであれば以下のようなスタイルは一つのモデルになるでしょう。
鍵盤ハーモニカまたはキーボード:指導者1、ボーカル(歌える人全員)
ギター:3、
トーンチャイム:3(メロディではなくハーモニー的な役割)
コンガまたはカホン:1
ハーモニカ:1
ツリーチャイム・トライアングルなど:4
曲:ふるさとの場合の具体的な配慮事項
調 ハ長調(C)
ギターはGD調弦でカポタストを5フレットに
トーンチャイムは:ド・レ・ミ・ソ・ラで一人2本持ち交互に鳴らす
ハーモニカ Cのハーモニカを自由
コンガまたはジャンベ:ある程度基本のビートの確かな人で
コンガなど基本ビートを受け持つ人は全体の音楽の流れを感じてたたくことが必要で、できる人が限られても来るでしょう。ですが、ほかの楽器は全く自由に、思いのままに音を出していけばよいので、技術や能力は求められません。もちろん「うた」を感じる心、やりたい気持ちは大事ですけど・・・。
音楽療法士 吉田 豊
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