トーンチャイムは、長さの違いから単体で一音ずつ決まった音程の音の出せる、日本で発明された楽器です。ピアノでいう白鍵の部分と♭やシャープのつく黒鍵の部分からできていて、10音、16音、25音のセットのほか単体でも販売されています。セットはケースに入っていて移動に便利です。僕の活動では、トーンチャイムを使った後は、メンバーに戻してもらいますが、一音ずつ長さが違い収まる場所が決まっています。それでFやCといった音の名前を確かめる人や、目測で長さを合わせる人がいますが、一人間違えると絶対に収まらないのも面白いところです。
ゆったりと振るという単純な操作だけで、柔らかく美しい音色が響き、とりわけ高齢者の集団音楽療法のシーンでは、よく見かける楽器です。ただ軽く振って生まれた音色とその残響に耳を傾けるだけで、心が癒されるといった雰囲気が醸し出されるのです。強く振ると、却って音は出にくくなります。
一音一音別々の人が持って、リーダーの合図でメロディを奏でることをすぐに思いつきますが、そこへ行く前に、いろいろと遊びながらトーンチャイムに慣れてもらうのがいいでしょう。
その時、やみくもに鳴らすのではなく音を味わいながら、ちょっとしたコツで音色が微妙に違っていることなどにも気づいてもらいたいところです。簡単に音の出る楽器だからと言って、粗雑な扱いは禁物です。
トーンチャイム遊びのお勧めは、まず黒い方だけを使う方法です。指揮や指示のようなことはなるべく避けて、好きなように鳴らしてもらいます。そうすると音がいくつも重なって聞こえてきますが、白鍵だといわゆる不協和音が生じますが、黒鍵だと全部同時になったとしても、心地よい音の重なりが得られます。その残響を消すにはトーンチャイムをひざや胸に当てるか、軽く握ります。この無音を味わうことも大切です。
次はグループが円くなって、真ん中のリーダが、メンバーの一人にポーンと音を投げかけます。受け止めた人はお返事代わりに、ポーンと音を返します。その繰り返しですが、それだけでも得も言われぬ音の空間が広がります。ピアノかキーボードの伴奏を入れることができるのであれば、こちらも黒鍵だけで音をつないでいくと、見事に混じり合います。
さらに一対一で少し距離を取って対面し、まるで羽根突きかバドミントンでもやるように音をやり取りする方法もあります。トーンチャイムを羽子板やラケットに見立てると、目には見えないはずの音がまるで羽やシャトルのように思えてきます。
なかなか羽根突きのイメージではできない人ももちろんいます。その場合には、先のまるいマレット(ばち)をボールに見立てて、それを音に合わせて移動させると、ほとんどの人が楽しめるようになりますよ。先日の研修会でもこのような方法を紹介したところ、大学で音楽療法を勉強された方から、学校ではこんなことは習わなかったので大変参考になったと喜んでいただけました。
音楽療法士 吉田豊
こちらで紹介されています楽器は、村井楽器オンラインストア から購入していただけます。また、松阪店 では実際に楽器に触れていただき音色を確認していただくこともできます。
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